木造GIR工法を採用した現場の建方が進んでいます
現在工事が進んでいる「データコーポレーション新社屋新築工事」では、特殊な工法での建方工事が進んでいます。
今回行われているのは、ホームコネクターという金物を用いた木造のGIR(グルードインロッド)接合という工法です。
木材同士をボルト状の金物と接着剤で剛接合することにより、木造でのラーメン構造を実現し、空間設計の自由度を高めたり構造体を現しにできたりします。
この工法を用いた工事は広島県内でも珍しく、この金物に合わせた木材のプレカットも、県外で行われてから運び込まれたそうです。

柱に長い中空ボルトが刺さっており、梁に小さな中空ピンが刺さっています。この中空ピンから接着剤を注入していきます。

こちらは柱の木口です。正方形の断面なので、どの向きで柱を立ててもいいように現場と木材業者で打合せをして、点対称の溝を彫っています。

これが柱を支える中空ボルトです。内部に水が入らないよう仮養生してあります。このように中空ボルトと中空ピンが接続され、中空ピンから接着剤を注入していくとボルト上部から溢れてきて、ボルト挿入孔に充填されます。

各部材の接合部には5mmほどのかかり代をつくったそうです。接着剤が固まるまでの間、ボルトとボルト孔では正確に接合できないが、在来工法ほどプレカットしてしまうと剛接合に影響するでしょうから、位置合わせに最低限必要な程度に留めています。

梁を差し込んでから柱を設置しますが、この状態では梁はボルトだけで片持ちで支えることになってしまい、ボルトやボルト孔が破損したらおおごとです。そこで下の梁は高所作業車で支え、上の梁は仮の頬杖柱で支えて、柱を設置しています。
柱の位置が基礎ボルトにきちんとはまったら、柱を貫通して梁に差し込む中空ボルトを差し込みます。かかり代をはめ込み、長い隠しビスを斜めに打ち込んで、仮止めが完了です。
こうして現場を見ていると、新しい工法といっても、その工法を実現させるためには現場監督と職人の知恵がいかに重要かということがよくわかります。。この工法による設計強度にかんする認定は当然取れているわけですが、「工法協会」がないと施工要領のノウハウが蓄積されないし、それでは工法普及という面でも、施工品質の担保という面でもハードルが高いと思います。かつては「工法協会」というものはそのビジネスを囲い込んで独占するための組織だなんて勝手に思っていた時期もありましたが、ノウハウが無いなかでどうやって施工品質を担保するよう工事をしていくか苦労している現場を見て、改めて「工法協会」の大切さを感じました。
GIR工法自体は、意匠性や木造での構造設計としては在来軸組工法ではできないメリットがあると感じますが、接着剤を用いる湿式工法という性質上、視認できない施工品質をどう担保するかや、建方にかかる工期は比較的長くなるという経済上のデメリットもあり、この工法が得意とする用途や規模はまだ限られるかなと思います。それでも新しい工法にチャレンジしてノウハウを貯めていくこともゼネコンの腕の見せどころだと思います。新しい工法、新しい素材、それにチャレンジして例え失敗してもちゃんと面倒見続ける責任を持てるのが、地場ゼネコンの強みです。